ダーウィンフィンチが見てた
- 暫定的進化仮説(1)-
えーということで、今日のお題は進化ってことなんですが、
まず先に断っておきたいのは「今のところ正解は誰も知らない」
「小規模の変化で、ある種の環境に適応するのを進化というなら
それは確認できた」というスタンスでいきたいと思います。
正解を誰も知らないのは当たり前で、タイムマシンでもできたなら
ともかく、見た人は誰も居ないからである。
♪400万年前の話 その現場 …見たんか?
一応化石という形で残ってはいるが、化石から進化の道筋を完全に
再現することはできない。
理由としてだが、中間化石といわれるようなもの(始祖鳥とか)は
非常に数が少ないのだ。見つかりにくいのよ。
そんなわけで進化のミッシングリンクはたくさんある。
さらにもうひとつ問題があって、いわゆる大進化、たとえば爬虫類が
哺乳類になるなどものすごくでっかい進化は現在の科学では
十分な説明ができないのだ。
何でこんなことが起こってしまったのかわからない。
かといって創造論にもどるのも…最初の生物は神や他の存在によって
生み出されたというなら、神や他の存在はどうやって生まれたんだ
という小学生レベルの疑問が解けない。
そう、わからないことだらけなのだ。
じゃぁ、何がわかっているのか。
そもそも現在の進化論ってのはダーウィンの適者生存、という
アイディアが元になっている。
1831年にイギリス軍艦ビーグル号に乗ったダーウィンは、
ガラパゴス諸島でダーウィンフィンチという小鳥が、島によって
違ったくちばしを持っているのに気がついたといわれている。
そこから環境の変化に応じて生物種が変化していくのではないか、
と言う説を提唱していくのである。
(他にも説はあり、本当はマネシツグミという鳥の変化を元にと
いう説、ゾウガメの甲羅が島によって違うのがきっかけである、
説などがある)
ただダーウィンは神学を学んでいた関係もあり、すぐにはそれを
提唱することなく、(教会を恐れてのことといわれている)
ウォレスと同時期に論文を提出することとなった。
実はウォレスの説のほうが自然選択だけを採用するなど斬新
だったりするのだが、いつのまにやらダーウィンが最初に
言い出したぽくなってるとかあるけどまぁいいや。
とにかく大事なのは、それまで生物種というのは固定であって、
変わったりすることはない、といわれていたのが、実際には
そうではないという、生命は変化していくということが
ポイントだったわけだ。
…まぁ強いて言わせてもらうなら、変化するのはいいけどどうして
変化するのよとかいう話は残ってしまってたけど。
そのダーウィンたちの弱点を補強したのがネオダーウィニズム、
「遺伝子を構成するDNAの突然変異によって生物種に違いが生まれ、
その結果徐々に生物は進化していく」
という考えである。総合仮説ともいう。
そう、メンデルさんド・フリースさんありがとうなのだ。
(メンデル…遺伝学の生みの親、ド・フリース…突然変異の発見者)
確かにこれで小さな進化についての説明はできるっぽいと思う。
ただなぁ…あくまで小さな進化なのだ。
大きな進化についての説明が十分にできないのだ。
小さな変化が蓄積していき、変わっていったとする。
じゃあ核が生まれて真核生物になったー!とか、染色体倍増!とか
そういうドラスティックな変化をどう説明すればいいのか。
こういう巨大な変化はある問題を生む。
「じゃさ、染色体倍増した生き物はどうやって子孫残したの?」
配偶子形成の際、細胞内の染色体は半分になる。
で、お父さんとお母さんが(以下略)でそれぞれの配偶子が接合し、
その配偶子から子供が生まれるのだ。
だが、お父さんとお母さんの配偶子の染色体の数が違う場合、
正常に子供が生まれてこなかったり、生まれてきても子供は
子孫を残せないはずなのだ。
…はずなのに南米のあるネズミは普通のネズミの2倍の染色体を
持っている。どうしてこんなことに。
ていうかそんな巨大な変化によく耐えられるな生物。
あるいは逆なのか?
そんな巨大な変化に耐えたものが生存したのか?
あと普通に考えたら不利益な変化が残ってしまうこともしばしばある。
たとえば人間はビタミンCを食べ物から摂取しないといけないが、
多くの哺乳類ではそんなことはない。
アルコール分解酵素の欠損もそうだ。
なんでそんな進化が起こるのか?
次回は細胞進化の話と、ネオダーウィニズムでは説明できない
ことの一部を説明した進化学者とかのお話。ではまた。